大事な商品に手をつける②

今日は安全な日なの


寝ている背中お尻
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その後も、時々、吹雪とF社長はセックスをしたが、いよいよ、大きなドラマの準主役の話が吹雪に決まったとき、F社長は考えた。

もう、こんなことを続けていてはいけない。

このドラマ出演の話は、F社長にとって涙が出るほどうれしいことだった。
F社長の悲願だった。
吹雪を今後も抱き続けたい気持ちはあったが、F社長は悩んだ末に吹雪との関係をやめることに決めた。

吹雪は確かに女優としての才能はあった。
ドラマが始まると、評判を上げていった。

そんなある日、大手芸能事務所からF社長に電話があった。

「おたくの吹雪さんとうちのF&Fが付き合っているという噂が出ているんですが。」

F&Fは、子供から大人まで人気のある実力派芸人だった。

今、彼をテレビで見ない日はない。視聴率男とも言われている。

「あちこちで二人が食事をしているのを見かけたとか目撃情報がマスコミにも伝わっています。」
と大手芸能事務所の人間は言う。

「本人に確認したら、確かに何度かデートはしているそうで。
マスコミに聞かれたら、仲のよい友達というふうに回答しようと思うのですが、それでいいですか。」

F社長は考えた。

F&Fは、独身だし大物だ。
F社長は、この男との軽い噂ならもしかしたら、吹雪にとっても、イメージアップになるのではと思った。

またF&Fは若い男の視聴者に特に受けていた。
吹雪のファンの若い男性もこのタレントが相手なら納得するのではないか。

F社長は吹雪を呼んで確認した。

「そう。F&Fさんは何回か熱心に誘ってくださるのでご飯には行ったわ。でも断じてエッチはしてないわ」

「じゃあ仲のよい友達ということでいいな。」
とF社長は言った。

そして、これをきっかけにもう自分は吹雪とセックスはしないとF社長は言った。

すると、吹雪は雑誌の記事の切り抜きをバックから出して、F社長に突きつけた。

そこには
「よくいる若手のきれいなだけの新人女優かと思ったら、最近、メキメキ、色気と存在感を出してきた吹雪。この若さでこの迫力は伊達に出せない。大型ドラマに選ばれるのも納得」
という記事が書いてあった。

「わかる?」
と吹雪は言った。

「社長とセックスしてから私に迫力や色気や存在感が出てきたのよ」

F社長は黙った。

「だから今後もエッチして」
と吹雪は言った。

「もうそんなこと言うな。
今、お前のスターへの一歩目が始まったんだ。
F&Fのような大物ならともかく、事務所の社長とのスキャンダルなんかが表に出たらおしまいだ」
F社長は言った。

「社長は私をみくびっている!」
吹雪は言った。

「私は男性とのうわさや色恋沙汰でダメになりません。女優やタレントの価値ってそんなところじゃないはずよ!」

社長は「甘いんだよ。お前は」と冷たく言った。

「じゃあ、今日で最後にするから。最後のセックスして」
と吹雪は言った。

F社長は吹雪を久しぶりに抱いた。

F社長は吹雪の全身をすみずみまで愛撫した。

F社長の腕の中で、吹雪は快感に美しい顔をゆがめ、F社長の心をとらえてはなさない艶っぽい声を上げ、体をくねらせた。

この体に、この顔に、この動きに、この声に俺は惚れ込んでいたんだ。
F社長はそう思いながら、吹雪の全身に口づけを繰り返した。

やがて、F社長がコンドームを装着しようとしたとき吹雪が止めた。
「最後だからそのまま入れて」

「何言ってるんだ。だめだよ」

でも吹雪はF社長の手からコンドームを奪った。
「大丈夫だから」

しょうがない。とF社長は思った。直前で外に出そう。

F社長は避妊具なしで吹雪の中に初めて入った。
吹雪の暖かさや潤いが直接感じられた。

気持ちよさのあまりすぐにいきそうになるのをこらえながら、F社長は吹雪の中で動いた。

吹雪はなまめかしい声であえいでいる。

F社長はその声にまた突き動かされ、自分の動きを強めていった。

「吹雪、いくよ」
F社長がそう言ったときに吹雪は
「今日、安全な日だから、中で出してほしい」
と言った。

「そんなことできないよ」

「社長とセックスするのは今日が最後でしょう。お願い。最後の記念に。」

F社長は吹雪の中に放出した。

「うれしい」
と吹雪は言った。

まだあどけなかった吹雪に一目ぼれして、自分がスカウトして、いろいろ苦労してここまで育てた。

変な話ではないか。
普通の男は、自分が惚れた女を自分だけのものにするのに。
F社長は、より多くの人に吹雪を知らしめることに全力を尽くしてきた。

そんな女性を今日だけは自分のものにした。今日だけは、吹雪は俺のものになった。
F社長は充足感に包まれた。

でもこれは一瞬の幸せ。
明日からは二度とF社長が吹雪に触れることはない。

約1か月後、また例の写真週刊誌からF社長のところに連絡があった。

「社長と吹雪さんの密会現場を見たという人からタレこみがありまして、お二人がお付き合いしているというのは本当でしょうか。」

「・・・・・」
F社長は絶句した。

「スマフォで撮った写真もあるんですよ」
と週刊誌は言う。

「どんな写真ですか?!」
とF社長がきくと、

「お二人が抱き合っている写真です」
と週刊誌の記者は言うではないか。

なんでそんなものが流出するんだ。細心の注意を払ってきたはずだ。俺の部屋でしか吹雪とはそんなことはしていないとF社長は思った。
そういえば、吹雪が一度、スマフォでふざけて写真を撮ったような・・・とF社長が記憶をたぐっていると、遮るように
「もうひとつ」
と週刊誌記者は容赦なく続ける。

「吹雪さんを張り込んでいたら、昨日、産婦人科医に 行かれたようですね。
これは弊社の者しっかり写真も撮りました。
吹雪さん、もしかして妊娠していらっしゃるのでは?」

F社長が吹雪に確認したところ、妊娠したという。

もう認めざるをえなかった。

F社長と吹雪はその週刊誌の紙面で交際宣言を行った。

他のマスコミに先行して、その週刊誌でのみ交際発表をするので、 産婦人科に行ったことうんぬんは絶対に掲載しないでくれというのがF社長の取引条件だった。
妊娠のことはもう少しあとから、せめて籍を入れてからの発表にしたい。

F社長の隣で幸せいっぱいに笑う吹雪の写真が、紙面を飾った。

「私は社長が大好きだったので、一生懸命アタックして、頑張ってつきあってもらいました」
と、インタビュ-で余計なことを吹雪は言った。

F社長が、ひやひやしている中、吹雪は続けた。

「自分の才能を認めてくれて売り出してくれた人。そんな人を好きにならないわけないでしょう」

F社長は黙ってきいていた。

「自分を大事に育ててくれた人のことを大好きになって当たり前でしょう?
皆さんにも気持ちわかっていただけると思うんですが」
そこで吹雪は大粒の涙をポロポロ流した。

F社長はさすが女優だと思った。

吹雪は涙で光った美しい目でF社長を見た。

そのとき、F社長の中で一瞬、もしかしたらこれは演技ではない。吹雪の本音なのか?という思いがよぎって、F社長は心臓が破けそうになった。

いやいや、演技だ・・・と思いながらも、F社長の動悸はなかなかおさまらなかった。

吹雪の発言、涙を流している写真は、世間に大きな話題を呼んだ。

「今後も大丈夫よ。私、結婚しても仕事やめないから。ばりばり働くから」
と、吹雪はF社長に言った。

「何言ってるんだ。出産で数か月間は、休まないとだめだろ。」
とF社長は言った。

「あ・・」
と吹雪は何か思い出したようだった。

「ごめんなさい。週刊誌が産婦人科のこと見逃してくれたから忘れてた。
嘘なんだ。それ。
実は妊娠してないの」

じゃあ、交際宣言なんかしなくてもごまかせたんじゃないか?なんで嘘ついてまでそんな・・・・。
F社長は驚いて口もきけなかった。

「だからこれからもバリバリ働くから大丈夫よ。社長」

頭を抱えるF社長とニコニコ顔の吹雪だった。

「トップがこうだから、うちの事務所ってみんな色ボケなんですね」
と吹雪のマネージャーがぼそっと言った。
F社長はキッとマネージャーをにらんだが、すぐに恥かしそうにうなだれた。

吹雪の若い男性ファンからF社長宛にカミソリ入りの封書などが山と届いた。

しかし、若い男の子のファンは激減したが、吹雪は演技派女優として、また、本音を語る、自分に正直な女性として、主婦層や女の子たちの間に絶大な人気が広がっていった。

また、いちずに事務所社長を愛していることをあちこちの番組でトークする吹雪の姿が年配の男性たちにも好感度大だったようだ。

騒動後、一度、解散した吹雪のファンクラブは構成されるファン層を変えて、再び復活した。

吹雪はF社長の弱小事務所では、フローラを抜く稼ぎ頭になっていった。


----終わり-----------------------

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